Psychomimetic Operations

ハーバード大学は、玉座の予見者たちによって支配されている。他のメイジたちは大学を調査のためにしか使っていなかったが、予見者は早くに大学の可能性を見抜き、ゆっくりと長い時間を掛けて大学を支配してきた。ギリシャ語サークルを手始めに、大学の援助者、優秀な卒業生、あるいは不安定な学部などを通じて、最終的には大学を手中に収めた。その顛末は、次のようなものだった。
 LSDが世の中に現れた。LSDは、精神を変化させる魔術を眠れるものの「不信/Disbelief」から守ることのできる可能性を持ち、さらには魔術の代わりにさえなるかもしれなかった。科学は、このドラッグを完璧な道具とするかもしれないし、あるいは避けるべき悪徳にしてしまうかもしれなかった。CIAの援助を受けた教授を通して、予見者は「向精神薬」と呼ばれる、精神病的な状態を作り出す薬を手に入れた。Timothy Learnyのような研究者はいわゆる「幻覚剤」のほうを好んでいた。彼は幻覚剤がサイコセラピーの分野を大幅に進展させるだろうと思っていたが、同時にこの薬が、「神秘的な」精神状態を作り出すだろうとも思っていた。
 1960年、ハーバード大学LSD研究の最前線になっていた。Leary博士の明白な反抗が、熱狂に対する一種の二重盲検法となっていた。権威主義のメイジと反体制的なメイジの両方とも、彼の考えに疑いを抱いていた。彼を買収することはせず、代わりにその研究を巡って彼らは争った。特に、幻覚剤を使用することで他のOrderの段階的な訓練を飛び越して自己の啓発を行おうとする横着者はそれに熱心だった。玉座の予見者は、LSDとそれに続く薬が、単なる狂気へと続く道だと考えていた。その他のメイジは、大抵この二つの考えの間のどこかにいた。
 もちろん、予見者たちがこの人工的な「狂気」を利用しなかったわけではない。彼らは、CIAのプロジェクトを通じてハーバードのLSD研究をより加速させた(それは、彼らの錬金術を高めるためでもあった)。結果、敵を無力化するものから精神を操作するものまで、様々な種類のドラッグが開発された。高度に洗練された予見者たちの呪文によって対象の感覚を誤魔化すことで、彼らは矛盾から守られていた。秘密の取引によって、コンバットドラッグのような幻覚剤さえも政府に採用されることになった。
 1977年には、予見者は、秘密の学内の調査団体を装ってハーバードを支配するオカルト集団を乗っ取るための作戦「 Psychomimetic Operations 」を実行に移した。CIAやFBIの中の保安部門の手で、作戦はゆっくりと進められていた。同様に、何年もの間に起こった暗殺や決闘によって集団の構成員はすっかり入れ替えられていた。予見者は、集団の利益を求めて争った。すなわち、公的資金や決定権、彼らが持つ秘密の書庫などである。作戦は表向き、次のような主張を装っていた。「精神に影響する薬物はテロリストの武器ともなる。政府の機関に報告を提出すべきだ」…だが実際には、人間の精神を操る方法を探し、実際に操作することが彼らの目的だった。予見者たちは、研究者が魂をより大きくゆがめる方法を発見すれば、眠りの呪いを操り、さらには覚醒した魂そのものを汚す魔術をも開発できると考えた。
 塔の一つ一つさえも魔術が掛けられていたにも関わらず、予見者―そしておそらくは、その上にいるExarchたち―はその陰謀で見事に大学を支配した。そしてその事実が、Asylum…作戦の「上」にいると噂される集団が実在しているにことを示しているのだ。