The Nemean, ボストンの教主/Hierarch

"人の心臓を食べたことはあるか?私はまだ食べたことがない…だが、おまえの無能さを見ているとそうしたくなる"
 
 Nemeanは、かつてはSavhamという影の名で知られていた。しかしさらにその前、60年代後半には、彼はマーク・ロングという名の高校中退者だった。彼は当時ヒッピーそのもので、ドラッグやエキゾチックな心霊思想に夢中だった。だが同時に、彼は単なる物好き以上のものでもあった。繰り返し経験する妄想や幻覚が彼を定職につけなくしていたが、それによって霊的なものに安らぎを求めるように駆り立てられてもいた。そして、新たに得た信条に従おうという心と内なる声を追い出そうとドラッグに依存する心との間で板ばさみになっていた。結果、彼は時折下っ端のディーラーとして麻薬を売ることになった。彼がボストンでさばいたLSDは1000回分以上にもなった。
 マークはウィッカと出会い、ネオ=ペイガンのコミュニティに参加するためにドラッグで儲けた金を溜め込んだ。そうした彼の計画も、縄張りの中でドラッグを売ったために死ぬ寸前までのされた時に中断され、と同時に彼は覚醒した。
 マークは血塗れの街角からスリサスの灯台へと登りつめ、生命の魔術と暴力的な気分に満たされたメイジ、Savhamとして戻ってきた。彼はセーレムへと向かい、ウィッカを信じる眠れる者を虜にすることに少しばかりの時間を浪費した。危機と奇跡が彼を生ける神へと変えていた。
 エボン・ヌースは素早く彼を見つけ出し、自分達の弟子とした。彼の声はただの囁き以上のものであったし、全ての集中力をArcanumと関連する知識を学ぶことに充てることができた。彼はCabalの右腕となるほどに力強くなり、協議会/Conciliumの監視員となった。(訳注:大文字なので門番/Sentinelとすべきかも)最終的に、彼は生命の達人にまでなり、エボン・ヌースのリーダーの座に挑戦した。当時のリーダーは敗北し、セーレムを去ることになった。そしてSavhamはエボン・ヌース22代目のリーダー、Nemeanとなった。そして、彼は討議もなしに教主の地位を要求した。肩幅も広がり、中年期の半ばにさしかかったNemeanは、まるで年経た獅子のようであった。彼は礼服の中に乱暴に詰め込まれ、渋面を作っていた。灰色の混じった髪の毛と見事な髭を持ち、爪は非常に長く少しばかり尖っていた。
教主の中には、伝説に残る賢人のように振舞う者もいれば現代的にCEOのように振舞う者もいる。Nemeanはそうした紳士然としたやり方を馬鹿にして、怪物的に振舞うことを楽しんでいる。ボストンのメイジにとって、Cormant Houseの会議場でNemeanが不機嫌に爪で机を叩く音は恐怖の象徴だ。
 Nemeanは、シンプルかつ暴力的なやり方を好み、メイジ同士の結束を固めるような先進的な動きを推奨することはけしてない。彼は、ボストンが面倒ごとに満ちていて彼のCabalに挑戦することが困難な場所であることを好んでいる。地域の脅威となるようなことでもなければ彼からの干渉もたいしたものではないだろうが、 彼は脅威になりそうなものごとに干渉することを何よりも好んでいる。大きな失敗をしたが死や追放をするほどではないメイジに対して、彼は過酷な重責を課す。特に、新しいCabalはこうした目に会いやすい。課せられる役目は、マナやアーティファクト、Nemeanの指示した何らかの魔術に関するものを手に入れることである場合が多い。