Closer to Home

天上の領域は、眠れるものは勿論メイジにとっても遠い彼方のものだ(覚醒のときは別として)。だが、だからといって堕落界が魔法の力を持っていないというわけではない。超常の生き物や超常的な出来事を集める場所があったり、草葉が朝露を集めるかのように天上のエネルギーを集める場所があったりする。メイジの家―メイジの聖所―も、神秘的な機能を持っている。


聖所/Sanctums

 聖所は、本部や生活の場所、あるいは作業場として1人、あるいは複数のメイジによって使われる場所だ。聖所の形や機能は様々で、そこを利用するCabalの必要とするものによって違う。多くの場合、聖所は魔術的な防御を持っている。聖所の一般的なイメージは中くらいのビクトリア朝風の家といったところだが、これでは型に嵌りすぎているというものだ。聖所はどんなものでもありうる。僧院、洞窟、地下のトンネル、整備された公園などだ。どこであれ、メイジのCabalが根城としている場所が聖所だ。
 実際のところ、この定義は単純すぎるとも言える。ほとんどの聖所は魔術によって安全が保証され、居住者が魔術をより使いやすいようになっているからだ。
 防護は、聖所で生活することによる利点の一つに過ぎない。聖所の居住者は頻繁に魔術の書庫や研究室、さらには貯蔵された力杯を利用でき、誰かにものを教えてもらうこともできる。
 可能であれば、聖所はHallowに作られる。最近はHallowは希少なものになっており、新たな聖所をHallowに作ることは、原質のArcanumを使ってHallowを移動させる術を知っているメイジにとってさえ困難になってきている。
 聖所は何が必要とされるかによってそれぞれ違っている。全ての聖所が同じようにできているわけではない。最も古いたぐいの聖所は、昔から受け継がれてきたものだ。特定の一族、Order、あるいはCabalによって何代にも渡って管理されてきた聖地である。例えばドルイドたちの聖なるオークの森は、いまもなお森を脅威から守ってきたメイジたちの手にある。その他にも、アジアの寺院やトルコのアヘン窟、ポリネシア諸島などにこうした聖所が存在する。こうして父祖から伝わった聖所は非常に保守的であることが多く、そこに住むメイジは過敏なほど聖所を守ることに熱心である。外部の訪問者は一応受け入れられはするだろうが、歓迎はされないだろう。
 普通の隠れ家として、あるいは防衛所として聖所もあり、多くの覚醒者を有するコミュニティのある都市にはこうした場所が一つは存在している。覚醒者にとって、こうした場所は敵の縄張りにおける前線基地である。そのため、こうした聖所の外側は魔法や技術によって目立たないようになっている。大抵は、隠蔽の呪文によって視覚的にも精神的にも目立ち具合が最低限になるようにされている。小さな街では、こうした聖所は土地に伝わる迷信を活用し、「呪われている」ように見えたりするようになっている(本当に呪われていることもある)。あるいは、防衛所としての聖所に通じる道が、魔法が掛かった暗い路地であることもある。中には、地下のトンネルのように完全に目にとまらないようになっている聖所もある。