The Mysterium

この堕落した世界の政府と、神秘を巡る策略のことはひとまず忘れて欲しい。知識とは力だ。昔から、神秘の知識は世俗的な欲望を超越したものだった。The Mysteriumたちは、自分達は世俗的な権力を遠ざけているためにもっとも純粋なOrderなのだと考えている。彼らは、純粋に魔術の知識を捜し求めることを好んでいる。しかしそれは、彼ら秘儀伝授者(the Mysteriumのメイジたちは自分達をこう呼ぶ)が影響力を持っていないという意味ではない。そしてもし彼らに影響力がなかったとしても、知識を一番早く発見するのが彼らであることは間違いない。そして彼らが知識―魔術の知識―を持っているということは、すなわち力を持っているということでもある。
 典型的なMysteriumの集団(cabal)は、朽ちかけた魔道書や遺物ばかりを気にかける孤独な学者集団である。 歴史上何度も、魔女狩りや無知な人間達によって彼らは隠遁し、人間の好奇心が教条主義を打倒するまで何世紀も待つ必要に迫られてきた。そのため、昔の秘儀伝授者は要塞のような図書館を持っていることが多かった。しかし、現代の構成員はもっと冒険好きである。現代の秘儀伝授者たちは、考古学者、暗号の専門家、謎かけの達人、そして遺跡の探索者である。彼らの智恵を持ってすれば、道路の配置やプログラムの内容を予言することさえできる。しかし、こうした謎以外にも、the Mysteriumを害する敵は存在する。古代の呪いや。沈んだアトランティスの秘密を守ろうとする狂信者、無知なメイジたちなどである。現代ではこのOrderには、図書館に篭っている人数と同じくらいのこうした学者=冒険家が存在している。
 T現代は、取り戻され、並べられ、発見され、メイジたちの役に立とうとしている秘密の宝庫である。Mysteriumのメイジは世界中を飛び回って知識の欠片を集め、魔術についての知識をさらに蓄えようとしている。だからといって勘違いしないで欲しいのだが、彼らはそうして集めた知識をただで公開するわけではない。中には公にするには危険すぎるものも、あるいはただで渡すには貴重すぎるものもある。探索では金が必要だし、時には命を落とすこともある。The Mysteriumは炊蓄えと、人材と、そして将来の探索の保証を必要としている。
 アトランティスにおいては、the Mysteriumは教授であり、図書館員でもあった。伝説は、メイジが識者の霊に相談でき、妖精、悪魔、天使、神の言葉で書かれた膨大な蔵書を誇っていたthe Cenacle of Sighsという場所が存在したと語っている。古代のOrderは、自然科学を学び、そして野蛮の地から新しいものを学ぶために僻地へと旅をした。彼らの旅は、学術的であるのと同じくらい、軍隊的でもあった。なぜなら、野蛮人たち(そして、彼らを統制する夜の怪物たち)は、偉大なる都市を恐れると同時に激しく嫌悪していたからである。初期の秘儀伝授者たちは知識の代償を血で支払い、彼らの名は都市の講堂に刻まれることになった。
 The Mysterium、またの名をthe Alae Draconis, ドラゴンの翼ともいう彼らがいなければ、天の梯子が造られることもなかっただろう。このOrderはthe Silver Ladderに比肩するほどに強大になり、所蔵品を奪われまいとその蔵書や所蔵品に外部のものが触れることを拒否した。そして彼らは堕落を引き起こす一因となり、自らの作り上げた大図書館をも破壊することになった。生き残ったものたちは、かつて自らが野蛮人たちから知識を略奪したように野蛮人たちが自分達の知識を学び、アトランティスの智恵が世界に広がっていくようにと望み、行動しはじめた。Orderのメイジたちは放浪するうちに、現在の彼らの基礎となる理念を作り上げていった。文字を書くこと、詩、物語を教え、それらに魔法の知識を隠した。彼らは未来の世代が虚構の中から真実を見つけ出し、アトランティスの技を蘇らせることを望んでいた。
 現代の秘儀伝授者たちは、自分達こそが彼らの望んだ未来だと信じている。古代の言葉、神話、忘れ去られた墓所に閉じ込められた秘密を解き放つときだと信じている。彼らにとって、秘密の発見はもっとも重要な任務なのだ。程度の差はあってもthe Mysteriumは全体として、人類の文化遺産を重要なものとみなす態度に苛立ちを感じている。彼らにとって重要なのは、アトランティスと魔法、そして隠された暗号だけなのだ。 これこそ、他のメイジたちがthe Mysteriumを墓荒らし、略奪者と非難する理由だ。だが、このOrderは彼らを非難するものたちを偽善者と呼んではばからない。他のものたちは、the Mysteriumが命を賭けて得た知識を利用するだけなのだから。