The Silver Ladder

メイジたちは、かつて統治されていた。それを忘れていけない。傲慢さが堕落を呼んだ…あるいはアトランティスの住人が島から追放されたのは当然だ…そういった話を信じてはいけない。これらも、嘘の一部なのだ。現実の征服―魔術帝国を築くための戦争―これらにこそ注目すべきだ。ものの見方を広げ、覚醒者の都市が堕落したことは単なる小競り合いに過ぎないことを知らなければいけない。退歩?たしかにその通りだ。しかし、より重要な戦いがあったのだ―玉座を、敵が天上に築いた要塞から引きずり降ろすという戦いが。自らの宿命を、人類に、そして覚醒者の運命へ捧げよ。その時、お前はSilver Laddrの一員となるのだ。
 …これは、昔から言われつづけてきた彼らの目標だ。堕落によってアトランティスの残骸の中に立ち尽くすことになったときにさえ、同じ事が声高に主張されてきた。彼らはそのとき、激しい戦争に荒廃がついて回るように、この荒廃さえも単なる付属物に過ぎない、と言ったのだ。そして、気落ちした様子もなくこう続けた。Silver Laddrは敵が決して持つことのできないある強力な武器を得た…眠れる者という武器を、と。
 The Silver Ladderは、目覚めていない人類を補助し、そして覚醒の灯火を可能な限り広めようと主張している。その行為は眠りの呪いによって危険なものになっていたが、同時に真実を解き放つには必要なことでもあった。そのため、この理想を熱烈に信じるものたちは人類全てを覚醒に導こうとしている。そして、メイジはこの新しい参入者を受け入れる覚悟をすべきであると信じている。彼らは覚醒者の影響力を広げるために協力し、来るべき戦いのために自らを鍛えている。彼らは、もう一度神の座へ届く塔を建てようとしている。そしてその前に、共謀することで鍛え上げられ、眠れる者たちによって巨大なものとなった軍隊を欲しているのだ。
 The Silver Ladderは、かつてはメイジを支配していた。公式にはアトランティスの支配者ではなかった時も、彼らは力のつりあいを保つ助言者、the Vox Draconis,ドラゴンの声であった。僧侶、大臣、古参の裁判官として、神政官(訳注:the SIlver Laddersの多分自称)は法の原理を保っていた。メイジたちが一つの集団としてまとめられたことはそれ以降一度もないことで、このOrderは当然、そのことを誇っている。The Silver Ladderの裁きが公正だったときには、彼らはメイジと、そうでない人類との間の力のバランスを維持していた。僧侶のように、彼らは物質的に必要性なものと精神的な欲望の間の正しい調和を取ることを主張していた。勿論、その時代の彼らも、人間的な弱点を抱えていた。そしてその弱点によって、彼らは天の梯子を建造するという目標に、他のOrderよりも大きく誘惑されることになった。―神と悪魔とを、人類の支配下に置く。これ以上の目標があるだろうか。
 他のOrderは堕落によって自らを省みたが、the Silver Ladderだけは違った。わずかな人数の指導者だけは物質と精神の調和を説きつづけたが、他は同じ言葉を、自分達の欲望を正当化するためにだけ使った。すなわち、全人類の上に立つ魔術帝国を築く、という欲望である。しかし、彼らの敵はもはや世界を支配するほどの力を失っていた。人類が眠りの呪いへと陥ったことで、彼らはもはや、ただの人間をさえ恐れなければならなくなっていた。もし人類が集団となって彼らの挑んでいれば、彼らは敗北していただろう。彼らは時を待ち、世界中に思慮深い助言者としての組織を広げていった。そして、彼らの命令を王や将軍、大臣といった者たちに囁いていったのだ。