Mystery Plays

"waking world dream"とも呼ばれるが、Mystery Playsにおいて、探求者は現実の世界こそが夢だったかのように感じる。場所も人間も奇妙に見え、外見だけでなくやっていることまでも馴染みのないものにみえる。ウェイトレスが蜘蛛糸のローブを着て神の食物を運ぶ輝く乙女に見えたりする(実際には、1ドルのアップルパイを運んでいるのだが)。そして建物も、犠牲者の骨が散らばるトロールの住処に見える。
探求者にとっては、この世界は現実のものだ。天国のパイは神聖で、トロールは本当に不潔だ。しかし、この"現実"を知覚しているのは探求者だけなのだ。たとえ他の覚醒したメイジが居たとしても、周りの者に見えるのはレストランと小太りで中年のウェイトレス、そして二日経ったパイだけだ。彼らの目には普通の世界が見えている。しかし探求者の目には、魔法と可能性に満ちた世界が見えている。全ての行動、全てのものが、宇宙の深淵な真実と探求者との関係を語っている。こうして、探求者は覚醒し始める。
探求者が覚醒を経験していることを理解できないものは、彼が狂ったと思うだろう。物乞いに対してエルフの王にするように接していれば、周りの友人が彼が我を失っていると思うのは当然だ。探求者自身、自分の魂との対話が行われていることに、大抵は気づいていない。覚醒しつつあるものの見る現実―あるいは現実に見えるもの―は、普通の意識で見るものと見分けがつかない。