プレビュー適当抜粋・第1回

今回は歴史。
 "遺跡、秘宝、壁画…これらすべての遺産は、すべてある一つの、不完全な物語を語っている。道を極めたメイジといえども、本当に何が起こったのかを見ることができるものはいない。ただ、魔術師たちの間には、ある滅びた都市と、リアリティの玉座を巡る戦争についての神話が伝わっている。その都市は様々な名で呼ばれ、その名の多くは永の年月の間に失われた。しかし、眠れるものの間にさえ、その名の一つは伝わっている。…そして、それが真実であったという証拠が探しつづけられている。その名を、アトランティスと言う。
 その昔、人間は怪物たちの玩具であり、精霊や血に飢えた亡霊たちの格好の獲物だった。人間よりもずっと強力な怪物たちに取り囲まれ、自分達には知覚することのできない縄張りに入り込んでしまうたびに殺されていた。人間が自分達の生存以上のことを考えることはほとんど不可能なことで、そのころの人間たちは恐怖に脅かされず生活することを夢見ていた。
 その時、ドラゴンの夢が到来した。世界中の何人もの人間が、ある一つの島を夢見た。知られているどの岸からも遠く離れた場所、風の唸る海に孤独にそびえる島を。その島の中心には、一本の尖塔が北極星を指してそびえ立っていた。それは、夢見るものたちに、世界の中心の軸を示していた。天の回転の中心軸を。そしてその軸の頂点には、ドラゴンたちが集っていた。
 夢の中で、伝説の存在である偉大な蛇たちは、一匹、また一匹と、その皮の翼を羽ばたかせて塔周りを円を描いて飛び始めた。そして、夢見るものたちには想像することさえ出来ない、無限の地平へと飛び立っていった。他の生物も精霊もその島にはおらず、また、あえてドラゴンの住処へ侵入しようとする勇気のあるものもいなかった。しかし、この夢を見たものたちには、飛び立ったドラゴンが二度と戻らないということが分かっていた。夜毎に、残ったドラゴンは次々と飛び立ち、その数を減らしていった。最後のドラゴンが西へと飛び立ち、二度と戻らなかった。夢はその後も続いたが、島には誰もおらず、動く者はなかった。夢見るものたちは何夜も、打ち捨てられ見捨てられた島を見続け、そして悟った。島は自分達を待っているのだと。島は彼らを呼び、抗しがたい魅力を持ってひきつけ、新しい住人を求めていた。"