郊外を取り仕切るカバル、Law of the Nature
紋章:絡み合う蔦に飲み込まれる猛禽
 Law of the Nature(以下LoN)の領土は、海岸沿いの一帯だ。LoNはそもそも、ネイティブアメリカンのメイジが、海から訪れる存在を見張るために組織したカバルだ。白人の入植やさまざまな抗争を経た今では、カバルの様子や文化も当時とは全く違った物になっている。
 今のLoNは、自然主義者の集まりといった要素が強い。その中でも、自然保護団体的な立場を取る者もいれば、自然に近づくことで自らの変革を目指す修行者もいる。周囲からは変人の集まりというように見られており、実際協議会にも形だけ参加しているに過ぎない。
 このような状態のLoNだが、そもそも持っていた役割が完全に失われたわけではない。シアトル周辺の海岸線は、影界との「境」になっている。影界と物質界を隔てるゴーントレットが極めて薄く、ほとんど魔法を使わずに行き来できるほどだ。設立当時のLoNは、ある強大な精霊に住処とエッセンスを供給する約束をし、影界からの侵入者を防いでいた。今でもエッセンスの供給は行なわれているが、カバルのメンバーにとっては「昔からの慣習」という程度の認識に過ぎない。その本当の意味は、もはや誰も覚えていない。エッセンスの供給が途切れれば、もはや影界と物質界の間を塞ぐものはなにもなくなる。あるいは、エッセンスに飢えた精霊が暴れだすかもしれない。そして、それは明日起こるかもしれないのだ。